浅葱色の約束。
「歳三はあんたに寂しい思いさせていないかい?」
ちゃんと父親やれてんのかねぇ───と、お姉さんは額を抑えながらふぅ…と一息落とした。
初夏ということもあって日中はジリジリと太陽が地面を焼く中、この時間帯になれば少しだけ涼しい風が吹いてくれる。
船場まで送ることになった私は、複雑な心境でとりあえず頷いた。
「お、怒らないんですか…?」
「え?」
「隠し子みたいなものだから…」
素朴な疑問だった。
確かに怖かったし、何度か厳しい言葉を土方さんに浴びせてはいたけど。
それでもどれも本心から怒っているようには感じなくて。
口から出る言葉は全て弟や甥っ子を心配しているようなもので、沖田さんや近藤さんのこともまるで自分の子供のように扱っていた。
「歳三はねぇ、何やらせても昔っから長続きしないわ女は取っ替え引っ替えだわ、散々だけど…」
この人は私のことも心から可愛がってくれて。
家族って、何なんだろう。
一生わからないと思っていた疑問が、こうして頭の中に浮かぶ。
「怒らないというか、結局怒れないのよね」