アテナ・イェーガー〜不穏、のちにキス〜
アテナはロネが止める間もなく、変装用のワンピースに着替えを済ませていた。仕方なくロネはアテナを連れて街へと向かう。
「アテナ、暗くなる前に帰らないと……」
「わかってる。でも、街を見ておきたい」
アテナはそう言い、通りを歩いていく。ロネはアテナは何がしたいのだろうと不思議に思いながら歩いていく。そして、通りの真ん中でアテナは立ち止まった。
「アテナ、一体どうしたの?」
「……事件の犯人が誰なのか、心当たりがある。それを確信するために来た」
アテナの言葉にロネは驚く。アテナの顔は真剣で、嘘をついているようには思えない。
「犯人って誰なの!?」
ロネは問いかける。アテナは少し考えてから口を開いた。
「私が、武器として育てられたことは知っているな?」
「うん」
「その武器として育ててくれた存在が犯人の可能性がある」
「えっ!?」
突然の告白にロネは戸惑う。アテナを育ててくれた人間が犯人など、信じられない。