アテナ・イェーガー〜不穏、のちにキス〜

三人の覚悟

ロネはぼんやりと窓の外を眺めていた。その様子を見てネイサンとナタリーは心配げな顔をする。

ロネはアテナを追って森の中へ入った。しかし、どれだけ叫んでもアテナが姿を見せることはなく、家に帰ってからロネは家族に「門限が過ぎている」と怒られてしまったのだ。

アテナに会いに何度もロネは森に足を運んでいる。しかし、アテナには会えていない。アテナの家に行ってもアテナは顔を出してくれないのだ。

「アテナに会えてないの？」

ナタリーの問いにロネはコクリと頷く。家に行っても気配がないのだ。

「会いたいけど、会えない……」

ロネは泣きそうになるのを堪える。ナタリーは優しく頭を撫でてくれた。その時、ネイサンが口を開いた。

「会いたいけど、会えない……。それはアテナがメルガ・キースの娘で、街の人間がメルガの子どもの仕業ではないかと疑っているからか？」

「は？」

ネイサンの言葉に、ロネとナタリーが同時に声を出す。ナタリーの声は驚きの声、ロネの声はネイサンがアテナの秘密を話した戸惑いの声だった。