17歳、昼下がりの散歩道
突然鳴り響いた電話の音に、少し身構えた。



電話を取ったのは自分ではなく、同じ部屋にいた女性。




マニュアル通りに電話対応をして、彼女は困ったように、近くにいた男性の上司と何かを話していた。



そして、その上司の方が、俺のもとへと歩み寄ってくる。




「平津さん。今日のスケジュールだけど、少し変更しても大丈夫?」




俺に向かってそう聞いてくる上司だが、何がどう変更になるのか教えてくれないと何もわからない。





「どういった変更でしょうか?」




すかさず、俺はそう聞いた。




確か今日は、この上司と2人で仕事をする予定だったはずだ。





「別の案件が入ったから、そこに長沼さんと行って欲しい。行く予定だったところは、僕1人で行くから。」




長沼さん、と聞いて、今年入社したばかりの男性が俺達のところにやって来た。



この人こそ、長沼さんだ。



俺より年上で、高校卒業と同時に入社してきた人。
車の運転ができる。




中卒で入社した俺は、社会人2年目だが、年齢の壁で運転はまだ不可能。


でも、1年後には運転免許を取らないと、この業界ではやっていけない。



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