17歳、昼下がりの散歩道
『よかった。それを救急隊の人に渡して欲しいの。それから、』
遠くからサイレンの音が近づいてくるのが聞こえた。
『空くん、詩織に付き添ってあげて。今、詩織の傍にいてあげられるのはあなたしかいないの。』
その言葉を聞いて、はっとした。
それは俺の中で責任感が芽生えた瞬間だった。
「わかりました。」
徐々に近づくサイレンの音の中で、覚悟に似た意志を込めてそう返事をする。
『うん、ありがとう。私も病院に向かうわ。詩織をよろしくね。』
通話が切れて、代わりに救急車が俺達の横に停車した。
…………それから、病院に着くまでの俺の記憶は曖昧だった。