〜トラブル〜 黒のムグンファ・声を取り戻す旅
もそもそと、アイスを食べ始める5人。
誰ともなく、口を開いた。
「トラブルって美人だよね」
「男みたいな格好してるけど、かなり美人だよ」
「少し変わっているけど、相当な美人だ」
「化粧とかすれば、普通に女優になれるよ」
「化粧なんて、しなくていい」
セスの言葉にゼノがヒューと口笛を吹いた。
「さすが、1番の理解者ですねー」
「君は君のままでいい〜」
「違うって!」
5人は笑い合い、少しづつ元の5人に戻って行く。
各自、それぞれの部屋に戻り、思い思いの時間を過ごす。
ゼノは何も手につかなかった。
いつもの作業もゲームも昼寝も出来ない。
いろいろな考えが頭を巡る。
(代表の言葉は理解出来た。代表に従っていれば問題ないと分かっている。でも……世の中には不幸な生い立ちの人や、事故で身内を亡くす人もいると分かってはいる……しかし、その人達は、どう闘い、どう立ち直っているのだろうか……?そもそも、立ち直るなんて出来るのか⁈ ダメだ。1人でいると考えがぐるぐる回るだけで、落ち込みそうになる)
ゼノはセスの部屋をノックした。
セスはパソコンに向かっているが、手は動いていなかった。
「セス、嫌だったら答えなくて良いのですが……」
ゼノは、そう前置きをして質問をした。
「病院の事……あの、こうして欲しかったとか、あったのかなと……こうした方がイイとか……すみません、質問がまとまっていなくて」
セスはゼノを見上げた。そして「いいさ」と言って、自分の話しを始めた。