〜トラブル〜 黒のムグンファ・声を取り戻す旅

 昼食が届いた頃、テオが目覚めた。

 トラブルが『トイレに行って来て下さい』と、メモで指示をする。

 素直に(うなず)き、ボーっとしたままトイレへ向かう。

 その間に水と昼食を広げて用意をする。

 戻ったテオは「1時間、寝てたんだー。あーこんなスッキリしたの、いつぶりだろう。お腹空いたー」と、食べ始める。

「いい匂いだー」

 匂いに誘われてノエルが目覚めた。テオに「トイレが先」と、言われて素直に従う。

「僕、いつの間に寝ちゃったんだろ」

 寝ぼけ眼で、テオと向き合って食べ始める。

 トラブルは残り3人のタオルをめくって顔を見ていた。

「何してんの?トラブル」

 テオの質問にトラブルは、目を見ていると、ジェスチャーする。

 セスの顔を(のぞ)いたトラブルはそのままタオルを外した。

 セスの肩を叩くと、すぐに起きた。

「もう朝か?」

 寝ぼけるセスに笑う2人。

「はい、トイレ行ってー」と、テオが元気に言う。

 トイレから戻ったセスが寝ているゼノに気付いた。

「ゼノは大丈夫なのか?」

 (うなず)くトラブル。

「そうか」と、セスもテイクアウトの蓋を開ける。

「ゼノとジョンの分を取って置かないとか怒られるぞ」
「すごい空腹だったんだもん」と、ノエル。

 セスが料理の追加をマネージャーに依頼する。

「甘い物も食べたい!」
「僕も!」

 幼馴染み2人は笑い合う。

 トラブルがゼノのタオルをとり、肩を叩く。

「うーん?」

 起き上がろうとするゼノを止め、腰椎ベルトを外す。右足を曲げて股関節を回すトラブル。

 痛い?と、口パクで聞く。

「痛くないです」

 左足も同様に回す。

 ゼノは、痛くないと、返事をした。

 ベッドの端に立たせる。トントンと跳ねてみせ、ゼノに真似をさせる。

「うん、痛みません」

 テオが、すかさず「はい、トイレー」

 ゼノは笑顔で従った。

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