〜トラブル〜 黒のムグンファ・声を取り戻す旅
第3話 本業

 1ヶ月後、メンバー達は新曲のカムバックを無事に終わらせ、テレビ収録に忙しくしていた。

 その間も、パク・ユンホのカメラはメンバー達の表情を(とら)えに現れた。

 トラブルはアシスタント兼専属看護師というだけあって、必ず同行した。しかし、パク・ユンホの車には乗らず、いつもバイクで乗り付けた。
 大きなカメラバッグを肩に掛け、反対の肩には黒いリュックを背負い、パク・ユンホの後に付いて歩く。
 いつも黒い服で、背中を丸め、誰とも目を合わせず、口もきかない。

 パク・ユンホは有名人なので現場に現れれば、代表やマネージャー、スタッフ、メンバー達が挨拶に出向く。

 しかし、トラブルを気に掛ける者は誰もいない。
 パク・ユンホのアシスタント達も当然の様にトラブルを無視していた。



 セスは、あのプールでの出来事を思い出していた。

 (あの時の強い目……自分を制止した強い力……同一人物とは思えない……)

 メンバー達に話せないまま、自然と目はトラブルを追っていた。
 
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