もう誰かを愛せはしない

7・時間よ、止まれ

「合コン!?」



季節は早いもので
大学3年生の冬を迎えた。



4年生になった翔介は就職活動も終わり、落ち着いている。


もちろん、私と翔介の仲は良好。




礼羽の姿は、あの講義室で見掛けた時以来見ていない。





そんなある日。

食堂でお昼を食べていたら、美佳から合コンに参加しないかと誘われた。



合コンって恋人探しが目的でしょ?

美佳には必要ないんじゃ…




「美佳、亮太と別れたの?」


「は?違うわよ。亮太が友達に人数が足りないからって頼まれたらしいんだけど、女も誘ってって言われたんだって」



何だ。

そんな理由か。




「だから亮太の為に私とメイサも行こ?」



亮太の為って…

私、亮太に何の義理もないけど。




「嫌だよ。私にはショウスケがいるもん」

「それなら大丈夫。亮太が昨日、川野先輩も誘ったって言ってたから。快くOKしてくれたみたいよ」



…あの男、朝会った時そんな事言ってなかったけど。


しかも快くOKって何!?




「川野先輩はメイサと違って大人だよね。困ってる亮太を助けてくれて」

「もー!わかったよっ!!私も行けばいいんでしょ!!」



合コンなんて興味ないけど、翔介を野放しにするワケにもいかない。


あの人懐っこい犬っころは、ホイホイ誰にでもついて行きそうだからな。






そんなワケで私は、美佳と共に合コンに参加する羽目になった。



合コンと言っても、別に彼氏作り目的で行くワケではないので


ジーパンにロンTを着て、その上にダウンジャケットを羽織り

全く色気のない恰好で美佳との待ち合わせ場所へと向かった。



「うわっ…!メイサ、その恰好はなくない?」



待ち合わせ場所には、短い丈のワンピースに白いトレンチコートを来た美佳が立っていた。



ミニ丈に合わせたらしいニーハイブーツが少しイヤらしい…。
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