もう誰かを愛せはしない
「…なぁメイサ。一瞬でも元彼を忘れて俺だけの事を考えてくれた事あった?」


「……なかった…」



私は立ち上がると服を着て、涙を拭って部屋から出て行こうとした。



すると、背中越しに小さな声で

『…ありがとう』と聞こえた気がした。





翔介は悪者になる必要はないよ。

悪者になるのは私。




ちゃんと翔介の事だけ考えてる時、あったからね。

本当だよ?




ただ…

礼羽への想いに勝てなかっただけ。






私は部屋から出てマンションの前にある自販機でミルクティーを買うと、翔介の部屋の前のドアに置いた。







ごめんね、翔介。

礼羽の代わりに見ててごめんね。




誰も誰かの代わりなんて出来ないのに


誰かの代わりにされたら傷付くんだって

私が一番知ってるのに…。




本当にごめんなさい。
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