もう誰かを愛せはしない
「彼氏からでもメール来てたのか?」

「彼氏なんていないけど」



ふーん…と相槌を打ってネクタイを緩める礼羽の首元には、何かキラリと光るものが掛かっていた。




「ライハ、ネックレスなんかしてたっけ?」

「ん?…あぁ、これか」



礼羽がネックレスを翳すと、そのネックレスは2つのリングが鎖に吊されたシンプルなネックレスだった。




「…これ、指輪だけ別に買ったでしょ。よく売ってるリングのネックレスより本格的なリングだもの」


「女ってそういうとこ目ざといよな。そっ!リングは地味に高い本物のシルバーリング」


「へぇ〜…。でも何で2つなの?1つでよくない?」




運ばれてきたケーキにフォークを刺しながら、礼羽に問う。




「…本当に好きな人が出来たら1つあげるから2つなの」



本当に好きな人…


私にくれないって事は、礼羽の好きな人は私じゃないんだって事だよね…。


わかってた事だけど。




「…ライハはモテるんだからすぐ出来るよ」


「モテたって俺が本気になれなきゃ意味ねぇだろ。…メイサこそどうなんだよ。恋愛沙汰の1つや2つねぇのか?」


「私はライハと違ってモテませんからね。いい男とは付き合えないんですよーだっ」



ケーキを口に含みながらプイッとそっぽを向くと、礼羽がソッと私の頬に手をあてた。
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