もう誰かを愛せはしない

 




未来の礼羽へ




あなたがこの手紙を読む時

あなたが心から愛する人が

そばにいることを願っています。






私ね、もう長くないみたい。


礼羽やお父さん達、お医者さんや看護婦さんは

すぐ治るよっていつも言うけど


私の体は私が一番よくわかるもの。



みんなが嘘をついてる事くらい、わかるよ。






…でもさ、礼羽

私、まだ中学生だよ?



制服の可愛い高校の女子高生になりたい

大学に行って将来の勉強がしたい




大人になって

礼羽のお嫁さんになりたいよ…。





礼羽を誰にも取られたくない!

私じゃない人と礼羽が結婚するなんて絶対嫌だ!



礼羽の隣りにいるのは

ずっとずっと私であって欲しい。








でもね
それは叶わないから



私の礼羽を

私以上に愛してくれる人とあなたを巡り会わせてあげる。



それが死んだ私が礼羽に出来ること。





礼羽は優しいから

私がいなくなった後も

私を大切にしてしまうと思う。




でも私はもういないんだよ?






だからお願い。







あなたの中にいる私を解放してあげて下さい。


あなたを私から解放してあげて下さい。


あなたが本当に愛する人を愛してあげて下さい。











あなたの中で止まっている時間を

動かしてあげて下さい。






約束だよ、礼羽。












礼羽といられた時間は短かったけど

私は本当に幸せだったんだよ。



だから今度はあなたが幸せになってね。






大好きだった礼羽へ

友紀(ユウキ)より







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