もう誰かを愛せはしない
終・Home
「ねぇ…何処に連れて行くつもり?」
「着いてからのお楽しみだって言ってんだろ」
おじいちゃんの葬儀も終わり、日常に戻った私達。
礼羽とヨリが戻ったといえ
私は仕事で忙しく、礼羽は研修医で休みがまばらな為
お互い休みが合う日がなく、中々会う事が出来なかった。
そんな日々を過ごしながら、久しぶりに同じ日に休みが取れたのでデートの約束をしたんだけど…
「ライハ、これ外して!」
「もうすぐだから、ちょっと黙ってろ」
会った途端、何故かアイマスクをつけるようライハに言われた。
久々に会って変態プレイでもするの!?
と、内心ハラハラしてたけど
どうやらそうではないらしい…。
礼羽の運転する車に揺られながら行く宛のわからない私はふてくされていた。
「…なぁメイサ」
「何よ」
「俺さ、医者になれなかったら農家継ごうと思うって言っただろ?メイサはどっちがいい?」
どっちがいいって…。
それって私が決めること?
「…大学院まで出て今も研修しながら頑張ってるんだから、今のままでいいんじゃない?」
「でもじぃちゃんの跡継がないと、あの家取り壊されちまうかも」
あの家は、私が知ることのないおじいちゃんと高校生になるまでの礼羽の思い出がいっぱい詰まっているはず。
その家が取り壊されちゃうのは嫌だよね。