もう誰かを愛せはしない
「誕生日プレゼント買ってくれる?」

「うん、いいけど。何か欲しいものあったの?」



礼羽はコクッと頷くと駅の前で自転車を停め、2人で駅ビルの中に入っていった。



構内は帰宅途中の女子高生で溢れかえっている。




「何が欲しいの?」



何処かに向かって歩いている礼羽の横を早足で歩きながら呟いた。




「ん?いいもの」

「いいもの?あんまり高いのは買えないからね」

「わかってるよ」



駅ビルの中に入っている色々なお店の前を通り過ぎていく。


本当に何処に行くのよ。




すると礼羽はある店の前で立ち止まった。




「…ファンシーショップ?ライハ、ぬいぐるみでも欲しいの?」



愛想の悪い礼羽には似合わない店。



実はぬいぐるみ抱っこして寝てます〜…とかじゃないよね!?


そんな事言われたらちょっと引くよ?




「ちげぇよ。でも狙ってたのがあるんだよね」



礼羽はそう言うと店の中に入っていった。

その後を追う。




店内は可愛い雑貨やぬいぐるみが沢山並んでいる。




「メイサ、メイサ!これ買って」



手招きする礼羽に歩み寄ると、礼羽はクマのストラップを指差していた。




「ストラップ?ライハのガラじゃなくない?」



ぬいぐるみじゃなくてよかったけど…

やっぱり似合わない。




「欲しいものは欲しいんだよ」



誕生日だから仕方ないと思い、ストラップを持ってレジへと向かった。
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