もう誰かを愛せはしない
会計を済ませ、ラッピングしてもらったストラップを礼羽に渡す。



「18歳の誕生日おめでとう、ライハ」

「サンキュー。大切にするから」



嬉しそうな礼羽を見て満足した。




「じゃあ帰るか。俺、昨日今日で部活サボってっから一回学校戻るけど、メイサはどうする?」


「うーん。丁度駅にいるし電車で帰るよ」


「メイサ送ってから学校行ってもいいけど」



もう少し一緒にいたいからそうして欲しいけど


それじゃ学校と思いっ切り反対方向になっちゃうから悪いよね。




そう思った私は首を振ると、発着掲示板を確認しバッグから定期を取り出した。




「じゃあ電車来るから行くね」

「おう。気を付けて帰れよ」



礼羽を見て改札を通ると、後ろから叫ばれた。




「メイサ!」



後ろを振り向くと礼羽が何かを投げた。

反射的にそれを受け取る。




手の中を見ると先程のファンシーショップの包み袋が入っていた。



「何?これ」

「今日付き合ってくれたお礼」



包みを開けると、中にはさっき礼羽に買ってあげたのと色違いのクマのストラップが入っていた。



え?

いつの間に買ってたの?




「俺とお揃い。ちゃんと携帯に付けろよ」


「ふふっ。このクマ、ブサイク」


「うるせぇな!大切にしろよ」




改札の前から去っていく礼羽を見届けた後、携帯にストラップを付けながらホームに降りていった。
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