もう誰かを愛せはしない

1・同棲生活

六畳一間の狭いアパート。



2人のバイト代を合わせても10万ちょっと。


それから家賃や光熱費を引くと、5万残るかどうか。



大学生だから、娯楽費や交際費も勿論必要なワケで




その残りのお金で食費をやりくりするとなると

やっぱり貧相な食事をすることになるんだけど、礼羽は文句の1つも言わなかった。





「おー。今日はふりかけがあるじゃん」



特売品のふりかけに喜ぶ礼羽。



今日の(も)朝ご飯は、白いご飯にお味噌汁。


卵を1つだけ使った目玉焼き。

勿論、黄身は半分こ。




「ライハのおじいちゃんが農家やっててよかったよね。お米を毎月送ってくれるから凄く助かってるよ」


「だな。じぃちゃんにお礼言わないと」



毎月、礼羽の祖父がお米を送ってくれる為、食いっぱぐれる事はない。


お米代もバカにならないから、本当に感謝です。




質素な朝食を食べ終え、私が食器の片付けをしている間に礼羽は歯を磨く。


これが平日の朝の風景だった。
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