もう誰かを愛せはしない
バイト中ずっと、家に帰ったら礼羽に何聞こうかなと考えていたら、いつもより早くバイトが終わった気がした。



「お疲れ様でーす」



他の従業員に挨拶をしてバイト先から出ると、目の前のガードレールにもたれて煙草を吸っている礼羽がいた。



「あれ、ライハ?どうしたの?」



話し掛けても返答がないので顔を覗くと、礼羽は煙草をくわえながら目を瞑っていた。



火がついたままの煙草をくわえながら寝るなんて危ないなぁ。




礼羽の口元から煙草を取って、店の前に置いてある灰皿に捨てる。




「ライハ!ライハってば!」



ユサユサと礼羽を揺すると、礼羽はゆっくりと目を開いた。




「あぁ。バイト終わったのか…。おかえり、メイサ」


「うん、ただいま。それよりどうしたの?何でここにいるのよ」


「迎えに来たんだよ。朝と夜しか一緒にいれねぇからさ…ちょっと…な」


「寂しかったってこと?」




私がそう言うと、礼羽はグッと言葉を詰まらせた。



素直じゃないけど礼羽のこういう所可愛いんだよね。



それに眠たいのに待っててくれるなんて…。





私がニヤニヤしていると、礼羽は私の頭を叩いてから手を握ってきた。


素直じゃない礼羽くんの為に、私が素直になってあげようかな。
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