もう誰かを愛せはしない
「あそこがじぃちゃん家だよ」



礼羽が指差した方を見ると、田んぼの中に建つ茅葺き屋根の昔ながらの家屋が目に映った。


時代劇に出てきそうな造りの家。



こういう家って本当にあるんだな。




「おーい、じぃちゃん」



家の前まで行くと、昔の造りの家だから呼び鈴がついていない為、玄関の前で礼羽が叫ぶ。



暫くすると縁側からおじいちゃんが顔を覗かせた。




「おぉ、礼羽か。よく来たな」



現れたおじいちゃんは、想像より遥かに若くて腰もシャンとしていた。




え?
これがおじいちゃん!?




「じぃちゃん、変わってないな。安心したよ」


「子どもと違ってジジイになると見た目は歳取らんのだよ」




おじいちゃんはホッホッと笑うと私の事をジッと見つめた。
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