もう誰かを愛せはしない
1人でボォっと物思いに耽っていると、美佳から電話が掛かってきた。



「美佳?どうしたの?」



明日提出する宿題のレポートでもやり忘れたのかな?




「メイサ、今亮太といるんだけど…スーパーで神崎くん見かけてさ。ちょっと気になったから電話してみたの」


「ライハなら煙草買いに行くって出掛けたけど?何かあったの?」


「うん。お線香と仏花買って行ったから、何かあったのかなって思ってね」



線香に仏花?



美佳と礼羽の話をしていると、礼羽が帰ってきた。




「美佳、ライハが帰って来たから電話切るね。また明日」



通話を切ると、何事もなかったかのように煙草を吸い始める礼羽に視線を移した。




「…ライハ、おかえり。何処行ってたの?」

「煙草買いに行ってただけだよ」



そう呟く礼羽の頬を、私は無意識の内に叩いていた。


礼羽の口から落ちた煙草がジュッと畳に焦げ付く。





どうして…

どうしてよっ…!!




「どうして…そうやって嘘をつくのよ!?」

「嘘って何が!?」



礼羽は頬をさすりながら私の事を睨みつけた。
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