もう誰かを愛せはしない
「…泣くなよ」



何も言えない私は、顔を手で覆いながら涙を流した。





どうしてこうなっちゃうんだろう…。



ただ楽しい、嬉しい、幸せだなって感じてたあの頃は何処に行っちゃったの?



どうして今は、こんなに辛くて悲しいだけなの?




「…メイサ。お前がユウキの存在を気にしちまうなら俺達は離れた方がいい。このまま一緒にいたって上手く行きっこねぇよ」


「それは私に出て行けってこと?」


「メイサ次第だよ」



そうだね。

きっと今、こんな気持ちのまま一緒にいたってお互いを傷つけ合うだけだ。




でもそれは

別れなきゃ解決しないこと?


もっと他に方法はないの?





「…別れるワケじゃない。俺はメイサのケジメが付くのを待ってるだけだ」



ケジメを付けるのは礼羽でしょ。


礼羽がユウキさんを忘れれば済むことだよ。





私はユウキさんに勝ちたいんだよ。

四六時中、礼羽が想う人は私であって欲しい。


それだけなの。






「信じて待ってるから…」





すれ違ってしまった私達の出した答えは、同棲生活を終わらせること。



もう、それしか答えが出せない私達はその日を最後に別れた。
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