もう誰かを愛せはしない
◆別々の時間◆
『信じて待ってる』
礼羽の最後の言葉は
頭の中で何度も何度もリピートされている。
本当はね、今すぐにあのアパートに戻りたいんだよ。
でも私はまだ
ユウキさんの存在に適わない。
でも…
実家の広い部屋にいると
あの狭いアパートが恋しくなる。
お母さんの豪華なご飯を食べると
あの質素なご飯が恋しくなる。
それは確かだ。
不便だったし、ギリギリの生活だったけど
礼羽がいたから、この上ない幸せな生活に感じていた。
1つしかない目玉焼きの黄身を半分こしたり
ふりかけを贅沢に感じたり
ハンバーグがご馳走に見えたり…
何不自由のない今、思い返すと
礼羽と過ごした約5ヶ月間はおままごとみたいだったけど
満たされていたよね。
つまらない嫉妬心と求めすぎた欲望が礼羽を責めて、幸せを壊した。
全部私のせい…。
あれから
あなたはどうしてる?