もう誰かを愛せはしない
3・新しい恋
礼羽と
一緒にいると辛いけど
一緒にいないと寂しい
片思いしている時の私は、一緒にいる辛さを選んだ。
だけど何で今は
一緒にいる辛さより、離れてる寂しさを選んでしまったのだろう…。
「え?神崎くんと別れちゃったの!?」
礼羽と別れてから少し過ぎた頃。
美佳に礼羽との事を聞かれ、別れた事を告げた。
美佳は驚いている。
「なんで別れたのよ!?メイサ、あんなに神崎くんの事好きだったのに?」
「うん。だって私を好きになった理由がユウキさんに似てたからって言われちゃったから…。もう自信も何も無くなっちゃったよ」
一緒にいて
礼羽が幸せそうな顔をするのも
楽しそうに笑うのも
愛情を示してくれるのも
その全ては私には向けられていない。
それを知って一緒にいるなんて、辛すぎるよ。
「…新しい恋しなきゃ」
次は幸せだけを感じる恋愛がしたい。
自分が相手を愛する分、相手にも自分を愛して欲しい。
四六時中、私の事だけ考えて私だけを見てくれる人。
そんな人を好きになるんだ。
「美佳。私、飲み物買ってくるね」
「うん。じゃあ私は先に講義室行って席取っておくね」
美佳と別れ、キャンパスを歩く学生達をすり抜けて学食の前にある自販機に向かった。
礼羽がいなくたって、私は普段通りキャンパスライフを送っている。
今はまだ、悲しさや寂しさを感じるけど
きっといつか…
この気持ちは私の中から消える。
「…何飲もうかな?」
少し悩んだあげく、私は甘ったるいミルクティーのボタンを押した。
今自分の中にある、涙の塩気をミルクティーの甘さで緩和して欲しかった。
そんな事を思いながら、自販機を見ると丁度ミルクティーが売り切れになった。
最後の一本か。
ラッキー♪
得した気分に浸りながらタブを開けると、いつの間にか隣にいた男がボソッと呟いた。