もう誰かを愛せはしない
うっ…
その顔は狡い。



礼羽を見て少しドキッとしながらスーパーボールをバッグにしまった。




礼羽、2年前の事覚えててくれたんだね。


ちょっと…っていうか、かなり嬉しいかも。





あの時、スーパーボールをねだったのはスーパーボールが欲しかったんじゃなくて


礼羽が私から離れて他のクラスメイトの所に行ってしまわないように引き止めただけなんだよ。



…気付いてる?








その後、カラオケに行き礼羽と散々騒いだ翌日。


寝不足気味の体を起こし、学校に向かうと友達の美佳と下駄箱で出くわした。



「おはよう、メイサ。目の下に隈出来てるけど大丈夫?」

「おはよ。昨日夜遅くまでライハと遊んでたから寝不足でね」

「あぁ、だから神崎くんもグッタリしてたのか」



美佳と話しながらトイレに行き、美佳に借りたコンシーラーを隈に塗った。




「ねぇメイサって神崎くんと付き合ってるの?」

「付き合ってないよ。ライハはただの友達」

「そうなの?付き合ってるのかと思った」

「付き合ってたら美佳にはちゃんと話してるよ」



ファンデーションで肌を整え、寝癖を直しているとジーッと私を見つめる美佳の視線に気付いた。




「何、美佳。ライハのこと好きなの?」

「違うわよ!ただメイサとどうなのかな〜って思って。メイサ、あんまり恋バナしてくれないし」

「私は、好きって気持ちを口にしたら止まらなくなりそうで恐いから話さないだけだよ」



最後にリップを塗り終えると、美佳と共にトイレから出て廊下を歩いていた。




「でもさぁ神崎くんってメイサにしか懐いてないよね」

「は!?懐く!?」

「うん。神崎くんカッコいいからモテるのに、メイサ以外の女の子には冷たいでしょ?」




礼羽が冷たい?


まぁ確かに口が悪いというか、マイペースだなって思うけど…



冷たいってイメージなんてないけどなぁ…
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