もう誰かを愛せはしない
少し疲れを感じながら、その日のシフトをこなした。



制服から私服に着替え、男の所へ行くと男は1人でウトウトしながら席に座っていた。


眠いなら帰ればいいのに。




「お待たせしました」



声を掛けると、男はピクリと体を揺らし私の事を見た。



「眠いなら帰って良かったのに」

「違います!1人で暇だったからつい…」



男はポリポリと頭を掻くと立ち上がって笑みを浮かべた。




「じゃあ何処かに行きましょうか」



スタスタと歩いていく男の後をついていく。




何だか頭が重い…
胸もモヤモヤするし…



色々あったからかな。




前を歩く男の背中がボヤけて見えた。




「…顔色が良くないですが大丈夫ですか?」

「え?はい…大丈夫…」



そう呟いた瞬間

体の力が抜け、倒れた。




遠くで男が私を呼んでいる声が聞こえる。




私はそのまま意識を失った……。
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