もう誰かを愛せはしない
「いきなり倒れたので俺の家に連れて来ちゃったんですが…大丈夫ですか?」



そうか…
私、気を失って…。



じゃあ、あれは夢か。

なんだ…




悲しいくらい幸せな夢だったな…





「疲れが溜まってるみたいですね。今日はもう遅いですし、ここに泊まって下さい。俺は友達んちにでも泊めて貰いますから」



男はそう言うと、私に笑みを向け立ち上がった。




「…ないで…」

「え?何ですか?」

「1人にしないで!今は…1人が嫌…」



私が男を見ると、男は困った顔をして私の目の前に屈んだ。




「…寝てる時、泣いてましたが何かあったんですか?話、聞きますよ」



男はポンと頭を撫でてくれた。




「俺、あなたに一目惚れしたんです。あの自販機の前で会った時に…」




優しく揺れる男の瞳には、涙が止まらない情けない顔をした私が映る。






新しい恋、出来るかな?



夢でさえ礼羽が出てこなくなるような、そんな恋愛出来るかな?






目の前にいる優しい男から香る匂いを嗅いだ私は


さっき


礼羽の夢を見たワケを知った。
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