もう誰かを愛せはしない
「離して!ショウスケは何も知らないのに余計な事しないでよ!!信じらんない」

「何も知らなくない。メイサから色々聞いたじゃん」



そうだけど、翔介に私を引き止める権利なんかない。


私は礼羽の所に行きたいのに…





私は怒りでも悲しみでもない、名前のない感情を感じた。




「…っ!ショウスケは私の何でもない!!勝手な事しないで邪魔なの…目障りなのよ!!」



何と呼べばいいのかわからない感情を私は翔介にぶつけた。




「…いいんだよ、それで」

「何がよ!?」

「俺は邪魔者でもいい。他人扱いされるくらいなら、目障り扱いされた方が嬉しいよ。メイサの中に映っていられるのなら」



翔介は人の目を気にする事なく、交差点の真ん中で私を抱きしめた。




翔介の腕の中は温かくて、広くて

礼羽と同じ匂いがして



礼羽に抱きしめられているのだと思える。




「メイサは元彼の話をする時、笑ってない。だから元彼の所には行かせない」



元彼、元彼ってうるさいよ。



でも…

本当に笑えてないよね、私。






礼羽の背中を見失った私は、優し過ぎる腕を見つけた。
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