裏はないちもんめ〜禁じられた少女たちの遊び〜
 そうとわかったら。


 あたしは一目散に廊下に飛び出した。


 慌てるあたしの腕に本の並んだ棚がぶつかって、少し腕が痛むけど大丈夫。


 それよりも問題なのは美依を見失うことだった。


 幸いあたしが廊下に出ると、美依の後ろ姿はまだ廊下の先に見えていた。


 紺色のTシャツの上に、流れるような黒髪が揺れている。


 「美依!!」と叫びそうになって、なんとか思いとどまった。


 まだゲーム中だ。カミサマは音に敏感だから……。


 美依の進むスピードは決して早くなかった。だから、あたしが駆け足で向かえばすぐ追いつく。はずだった。
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