甘味(短編集)


意味が分からず、抱っこされたまま無表情の晃くんを見上げる私。

「志帆が中学卒業まで我慢してたんだよ」


今日やっと卒業した志帆を捕まえに来たのに、先に全部言うとか、ありえない。


どうやらこの時を待ってくれたらしい。


「……じゃあ、晃くんの彼女になれる?」


泣きそう。


「俺はそのつもりでいた」


妹になるとかふざけんなよ。


もう我慢出来ない、晃くんの頭を抱きしめてわんわん泣いた。


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