甘味(短編集)
本にしおりを挟み机に置くと、背中にくっつく私をヒョイと前に持ってきて、向かい合う。
「志帆からキスするのと、俺にくすぐられるのどっちがいい」
き、キス?!?!わたしから?!
でも擽りとか一番の弱み!!
「え…えぇ(泣)擽り苦しいからヤダ」
「じゃあキスして」
「う……目瞑って?うひゃっ!くすぐっちゃやだっ!!」
一瞬、脇腹をコショっとやられて身をよじって晃くんの胸に倒れこむ。
「ホント志帆はくすぐり苦手だな、ほらキス」
普段から喜怒哀楽が分からない晃くんは、甘い言葉も表情を変えず言えちゃう人。