新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
弟と幼なじみ
【深琴】
朝。
「…い…琴」
体を揺すられて、意識の遠くほうから声がする。
「ん~…夏彦?」
目を覚ますと、スーツズボンにYシャツ姿の夏彦が「おはよ」と軽く私の唇を塞いだ。
「…身体、大丈夫か?」
「誰のせいよ…」
夏彦と別れてすくに妊娠して…夏輝を産んだ後も誰とも付き合うことなく、セックスをしたのは久しぶりだった。
その上で、忘れられなかった夏彦の甘い熱に激しく溺れたから身体が重くなるのも不思議な事ではない。
「…久しぶりで理性が利かなかった」
「えっ、向こうで付き合ってた人とかいたんじゃ…」
「そんな子はいなかった。…お前と付き合ってからは深琴だけだ」
「私も…夏彦だけよ」
そう言って、お互い微笑んでキスをする。
「…押し倒したいのはやまやまなんだが、そろそろ時間だ」
夏彦にそう言われて、時計を見ると6:00
「嘘!こんな時間!?」
私は慌てて、ベッドから下りてシャワーを浴びた。
夏輝は夏彦と私が『仲直り』した事を聞いて泣きながら大喜び。
「…パパ…ひくっ…、ママ…ひくっ…」
「…ありがとう、夏輝。お前がいてくれたから深琴と『仲直り』ができたんだ」
夏彦が夏輝を抱きかかえまま言う。
「もう泣かないの、夏輝。…これからは3人で暮らすんだから」
「…本当?」
「私が夏輝に嘘ついた事ある?」
そう言うと、夏輝は横に首を振って夏彦を見る。
「もう…夏輝にも深琴にも寂しい思いはさせない」
「約束よ、夏彦」
「パパ、ママ。大好き!」
これが『家族』として、初めての幸せな朝だった。