新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
就任式は、会社でパーティーが開かれる事もある大広間で行われた。
「…では、今年度から我が『TAKADAホールディングス』新社長に就任された方をご紹介します」
進行する司会者がそう言うと、どこからともなく新社長が現れた。
整った顔立ち、ブラウン・ベージュ系のショット系の髪型。
「…嘘、なんで…」
私は彼を見て、思わず言葉を零す。
「…今年度から『代表取締役社長』に就任致しました。高田夏彦です。まだまだ、未熟者ですが今日から宜しくお願いします」
彼はそう言って、軽く頭を下げた。
「…夏彦」
私は無意識に息子―――夏輝の父親である彼の”名前”を呼んでいた。
今から4年前。
大学からウチに帰ろうと、校門を潜るとセミロング系の髪型した女性に声をかけられた。
「あの…すみません」
「はい?」
「もしかして、小日向深琴さんですか?」
「そうですけど…」
「はじめまして、八柳香織(やなぎかおり)と言います。…少しお時間よろしいですか?」
「ええ…」
私はそう頷いて、香織さんとウチに帰った。