新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
昼休み。
私は夏彦の言うとおり朔也にメールを送り、雪さんが出してくれた車でウチに戻って必要な物を鞄に詰めった。
そして、会社の駐車場に車を停めた。
雪さんとは、同じ歳で夏彦の従兄弟という事ありお互い自然とタメ口で話すようになっていた。
「ありがとう、雪さん。助かったわ」
「いや、どうせもう…夏彦のウチに引っ越すんでしょ?」
「ええ、『来週には引っ越して来い』って聞かなくて。…夏彦のご両親にもちゃんと挨拶に行ってないのに」
「ハハハァ、それはあんまり気にしていいよ。伯父さんたちは『夏彦と深琴さんが落ち着いてからいい』って言ってるから。あっ、でも…『孫に早く逢いたい』とは夏彦に言ってるみたいだよ」
「フフフ。じゃあ、引っ越しが落ち着いたらご挨拶に伺うわ」
「ん、そうしてくれ」
それから、荷物を夏彦の車に移動させて雪さんと別れた。
【デザイン課】に戻ると、愛花は仕事を再開しようとしていた。
「ごめん、遅くなって」
「うんうん、まだ大丈夫よ」
私は愛花の作業を手伝う。
「深琴、お昼食べた?」
「軽く雪さんと一緒に食べて来た」
「“雪さん”って確か…」
「あの人(夏彦)の現『第一秘書』で同じ歳の従兄弟」
「じゃあ、私たちとも同い年なんだ」
私は無言で頷いた。
それから、仕事を始めたかと思うと課長―――一月が話しかけて来た。
「…小日向、話がある」
「はい」
私は返事をして、今はほとんど使われる事がない資料室に向かう一月の後を無言で着いて行った。