新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
仕事を定時で終わらせて、帰り支度をする。
「愛花、もう出れる?」
「うん」
課を出た所で、雪さんが私たちを待っていた。
「小日向さん、橘さん。…社長に頼まれて迎えに参りました」
…わざわざ、いいのに。
「あなたが“雪さん”ですね。改めて、橘愛花です。同い年なのでプライベート時は良かったら名前で呼んでください」
「では、そうさせて頂きます」
「はい、宜しくお願いします」
そう言って、2人はお互いに微笑んでいた。
そして、3人で駐車場に向かうと夏彦の姿があった。
「夏彦!」
「お疲れ」
「『お疲れ』じゃないわよ!」
私はそう言いなら、夏彦に近づく。
「迎えなんか寄こしたら目立つでしょ?」
「そんな固くなるなって言ってるだろ。…遅かれ早かれ俺たちのことは公表するんだからいいだろ」
「それはそうだけど…」
夏彦は「だから、心配するな」と言って、私の頭をクシャグシャと撫でた。
「もう…」
私はそう言いながらも少し微笑み、夏彦の後を追うように車の助手席に乗った。
愛花と雪さんはそんな私を見届けて、雪さんの車で夏彦が住む高級マンションに向かった。