新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
夏彦が住む高級マンションは、地元で一番大きなマンションで、多くのセレブ達が住み『TAKADAホールディングス』が保有している55階立ての棟の1つである。
夏彦と再会するまでは、私がここに足を踏み入れる事になるなんて想像もしてなかった。
「…深琴、これが部屋の『合鍵』と『暗証番号』だ」
そう言って、夏彦はそれを私に手渡した。
「ありがとう」
合鍵を見るとなんだか嬉しくなった。
…私、本当に夏彦の隣に戻って来れたんだ。
「どうした?」
「うんうん、なんでもない」
首を横に振って、車から降りた。
部屋。
「うわ~、広い~!」
愛花が部屋に入るなり声を上げた。
「本当だわ…」と私も部屋を見渡して呆然と呟いた。
「そうか?普通の5LDK(+バルコニー付き)だろ」
「そうそう、俺たちの実家のほうが広いしな」
夏彦と雪さんはこのくらい当然という顔をした。
…うわ~、夏彦の実家に行くのが少し怖いわ。
「…夏彦。キッチン使うわよ」
「ああ、好きに使ってくれ」
そう言って、オープンキッチンのほうに向かって帰りに買い込んだ食材を冷蔵庫に入れる。
キッチンに必要な家具の位置を確認する。
それを見ていた愛花がリビングにいる夏彦に声をかける。
「夏彦さんって、料理するんですか?」
「ん、向こうで外食ばかりだと栄養が偏ると思って。まぁ、簡単な物しか作れないけど…」
「向こうで料理を作てくれる”彼女”はいなかったのかよ?」
雪さんが意地悪そうに聞いた。
そうすると、夏彦は雪さんに鋭い目線を向けて言う。
「お前はバカか?俺は深琴以外の女にそういう興味はない」
「冗談だったのに…。顔怖っ!」
「くだらない冗談を言うからだ」
「私が思った以上に夏彦さんに愛されてるね♪深琴」
「それはわかってるから…。もうやめて…」
顔を真っ赤にして、私はそう呟いた。