新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【朔也】
仕事を終えて、姉貴から送れて来た住所に向かった。
「ここか…」
地元で一番高級マンションを見上げて呟いた。
「朔くん、ここがパパのおウチ?」
俺と横で手を繋いでいる夏輝が言う。
「ん、そのはず…。姉貴に電話してみるか…」
俺は鞄から携帯を取り出して電を話かけた。
「…もしもし、姉貴?」
「…朔也、今どこ?」
「マンションの下」
「じゃあ、そこで待ってて」
と、電話切れて…少しして姉貴が来た。
「ママ!」
「お帰り、夏輝!」
姉貴はいつもように、我が子を優しく受け止めて抱きかかえる。
「…ママ、パパは?」
「部屋で愛花と夏彦の従兄弟――雪さんと一緒に夏輝たちを待ってるよ」
そう言って、姉貴が笑顔で答えた。
…そんなに大勢いるのかよ。
俺は思いながら、姉貴の後について行った。
部屋。
「あっ、来た来た!夏輝、朔也。久しぶり」
「よう、愛花姉」
「愛花ちゃんだ~」
「夏輝、少し見ないうちにまた大きくなった?」
愛花姉は夏輝の目線まで、しゃがんで頭を撫でた。
そうすると、ある部屋から2人の男が出て来た。
「夏輝」
「あっ、パパ!」
彼がそう呼ぶと、夏輝が笑顔になり嬉しそうに抱き着いた。
「兄貴…」
俺の声が震えた。
…目の前に彼がいる。
俺が彼と出逢ったのは…高3の時。
姉貴が”彼氏”を俺や父さんたちに紹介してくれたのは、後にも先にも彼――“高田夏彦”だけだった。