新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
―――ガチャ。
夏彦がドアを開けると、セミロング系で私たち3人のブラウン・ベージュ系よりも暗めの髪型をした女性が奥のほうから出て来た。
「お帰りなさい。夏彦。…深琴さんもやっと逢えて嬉しいわ」
お義母さまは、そう優しく微笑んでくれた。
「こちらこそ、ご挨拶に伺うのが遅くなってしまい申し訳ございません、お義母さま」
と、私は頭を下げた。
「…母さん。この子が―――俺と深琴の息子です」
「僕は夏輝です」
「初めまして、私は夏彦の母―――春美(はるみ)です。あなたの―――おばあちゃんよ♪」
そう言って、お義母さまが夏輝に優しく笑いかけてくれた。
「親父は?」
「…雪とリビングで待ってるわ。さぁ、深琴さんも夏輝も上がって」
「はい、お邪魔します」
「お邪魔します~」
私たちはリビングに向かった。
中に入ると、広いリビングでソファーに座っている雪さんにと会長―――お義父さまの姿があった。
「よう。深琴さん、夏輝」
「雪くんだ~~」
夏輝は初めて逢って以来、しっかり懐いてしました雪さんに抱き着く。
「なんで、雪さんにここに?」
「伯父さんたちに『今日、深琴さんたちが来る』って聞いてね」
「深琴さん、ようやく直接逢うことができて嬉しいよ。…”孫”にもね」
そう言って、お義父さまが夏輝を見た。
「もしかして…僕のおじいちゃん?」
「そうだよ、俺は夏也だ。ようやく逢えたな、夏輝」
お義父さまの話し方は、夏彦が素で話す口ぶりと瓜二つなように思えた。
それから雪さんに夏輝の相手をしてもらい、夏彦と私はお義父さまとお義母さまと向き合うように座る。
「…改めて、ご挨拶に伺うのが遅くなってしまい申し訳ございません。お義父さま、お義母さま」
夏輝をなにも言わずに産んだことも含めて、私は改めて頭を下げた。
「深琴さん、4年前の事はあなたは悪くありません」
「そうだ、夏彦。本気で愛してるなら…もっと早く『高田家』の事を深琴さんに伝えるべきだったんだ」
「ああ、言われなくても…ずっと後悔して来たよ」
「私もあの時の事は後悔してた。『どうして、もっと夏彦と話し合わなかったのか?』って。もし、ちゃんと話し合っていたら…私も夏輝もあなたと離れずに済んだのに…」
「深琴…」
そう言って、私は夏彦に微笑んだ。
そんな私たちをお義父さまとお義母さまは、暖かく見守ってくれていた。