新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【夏彦】
「…んで、籍はいつ入れるんだ?」
「9月に入れようと思ってる」
親父の問いに短く答えると「そうか…」と頷いた。
「深琴さん。改めていろいろ苦労をかけるかもしれないが、これから『秘書』として『妻』として息子を支えて行って欲しい」
「私になにができるかわかりませんが、こちらこそ宜しくお願いします」
そう言って、深琴は親父たちに頭を下げた。
話が落ち着いたと思った所に、夏輝がなにかを手に持ってこっちに向かって来る。
「ママ~、これ見て!」
「アルバム?」
「たまたま、見つけて」
雪が少し苦笑いをする。
深琴は夏輝からアルバムを受けて、机の上で開く。
「懐かしいわ~」
「これを見てると、夏輝は夏彦の子どもの頃に本当にそっくりだな」
親父たちと一緒に幼稚園時代・小学時代・中学時代・高校時代の写真を懐かしむ。
「夏彦と雪さんって、”従兄弟”いうよりも”兄弟”に見えますね」
「俺たち夫婦も弟の冬也夫婦も、お互いに1人しか子どもができなかったな」
「夏也、それは関係ないと思うわ」
母さんはニコリっと笑った。
「そうだな…」
親父は優しそうな声でそう言った。
それから、しばらくして母さんが話しかけてきた。
「ねぇ、夏彦」
「ん?」
「ここの所、いろいろ忙しかったでしょ。だから…たまには深琴さんと2人でゆっくり過ごしなさい」
「おう、それはいいな~」
「夏輝はどうするんだよ?」
「もちろん、私たちで見るわ」
「でも…」
深琴が申し訳なそうな顔をする。
「…僕、おじいちゃん家(ち)に泊まりたい!」
「そうか!夏輝、いっぱい遊ぼうな~」
「一緒に買い物にも行こうね~」
「うん!」
3人共、嬉しそうはしゃいでいる。
「伯父さんも伯母さんも…早速『孫バカ』だな」
雪が俺と深琴の隣に来て、その光景を見て言う。
「喜んでもらえて良かったわ」
「そんなの、俺と深琴の子どもなんだから当然だろ」
無意識に自分の手を深琴の手と重なる。
「そうね、夏彦」
「こんな所で、イチャイチするなよ~」
そんな俺たちを見て、雪が笑って釘を刺された。