新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
車に乗り込むと、携帯が鳴った。
【着信:岡田香純(おかだかすみ)】
”岡田香純”は―――俺と雪のもう1人の『幼なじみ』で今から半年前から秘書課の『課長』に就任していた。
「休みの日になんだ?香純」
「『休みの日になんだ?』じゃないわよ!なんで、深琴があんたの秘書をやる事になったのよ!?」
電話に出ると、凄い勢いよく怒鳴り込んできた。
助手席に乗っていた深琴も電話の彼女の声に気づいたようで、「えっ、香純!?」と驚いていた。
「知り合いだったのか?」
「…っていうか、愛花たちと同じで高校時代からの親友」
…マジか―。
俺と雪は小学校時代からの付き合いだが、深琴と香純も『幼なじみ』って事になるのか。
世間って、意外と狭い。
「ね!夏彦。聞いてる~~?」
再び、電話を耳に当てて意識を向ける。
「聞いてるよ」
「深琴にはまだ小さい息子がいるのよ?」
俺がチラッと、深琴を見ると首を横に振る。
どうやったら、まだ夏輝の父親の事は話してないようだ。
「わかってる。…そんな事は俺が一番」
「どういう事?」
「今から説明するから俺ん家(ち)に来てくれ」
「えっ、急すぎなんですけど。まあ、いいわ」
「じゃあな」
そう言って、電話を切った。
「…香純と夏彦も『幼なじみ』だったんだね」
「お前な。…マジでびっくりした」
そんな話をしながら、車を走らせた。