新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
夜。
家事も終わって、今日は夏輝がいないため…なんだか静かに感じる夜。
…こんな日は、いつぶりかしら?
夏輝とこんなに離れる事なんて、今までなかったから寂しい。
そう思いながら、バルコニーに出る、
「今日は星がよく見えるわ…」
久しぶりに穏やかな夜風に当たりながら、星空を見上げる。
「深琴」
後ろから声がしたかと思うと、そのまま彼の胸へ抱き寄せられた。
「風邪ひくぞ」
「うん…」
「今日は星が綺麗だな」
「ええ…。ちょっと前までは『星空』を見えると、夏彦のことを思い出して辛かったのに…また幸せな気持ちなるなんて不思議…」
「俺もだ…」
そう言って、夏彦は私から体を離して今度は向かい合う。
「夏彦?」
「やっと、渡せる。遅くなってこめんな」
夏彦が手にした箱の中には、数個のダイヤモンドが星のように並んで埋め込まれているシンプルな2つの指輪。
「どうだ、俺たちのイメージピッタリの婚約指輪(エンゲージリング)だろ?」
「夏彦…っ」
涙ぐんでしまった私の左手を取って、夏彦が薬指に指輪を嵌める。
「結婚した後もこれが結婚指輪(マリッジリング)になる予定だ」
「うん、嬉しい」
夏彦は指で私の涙を拭い、頬に手を当てて唇を重ねてキスをした。
寝室。
「んっ…ふぅ…」
いつものようにベッドの上で、夏彦に愛される。
「深琴…っ」
夏彦が私の身体を愛撫しながら、甘い声で名前を呼ぶ。
やがて、夏彦か私の中に入って来て…変わる事がない甘くて激しい愛をくれる。
…こんなにも私を苦しい気持ちにさせるのも
泣きたくなるくらい愛おしい気持ちをくれるのも
悔しいくらい、あなただけ。
「…どうした、痛いか?」
夏彦が動きを止めて、私の顔を覗き込む。
「…違う。ただ夏彦が愛おしいの…」
「…お前っ…」
夏彦の顔が険しくなったかと思うと、腰を掴まれてさらに身体の繋がりを深くさせて来た。
「深琴、俺をこれ以上煽るなよ」
「んんっ…ふぅ…夏彦」
「俺をこんなにも欲情させるのはお前だけだ。深琴…」
そう言って、私たちは貪(むさぼ)るような深いキスを繰り返した。
――2人の薬指には、この夜空の星ように数個のダイヤが輝いていた。