新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
―――時は流れて、8月。
私が夏彦の『秘書』になって3か月が経った。
「小日向、このデータを○○社に送といてくれ」
「かしこまりました」
「それと…」
夏彦がPCから目を離して、椅子から立ち上がって私に近づいて来た。
「社長?」
「…体調が悪いだろ?深琴」
”名字”ではなく”名前”で呼ぶのは、『プライベートモード』の合図。
「ちょっと!夏彦」
離れようとすると、夏彦は少し強引に私を抱き寄せておでこ同士をくっつけた。
「少し、熱いな」
「大丈夫よ、このくらい…」
…本当は少し体がだるいし、生理でお腹も痛い。
「今日は早めに上がるから、一緒に帰ろう」
「うん」
夏彦の腕の中で素直に頷いた。
――コンコン。
ドアをノックする音が聞こえて、私たちは離れて夏彦が「入れ」と答えると『副社長』に就任した雪さんが社長室に入って来た。
「夏彦、そろそろ時間だぞ」
「ああ、今行く。…なにかあれば連絡しろ」
「はい。…いってらっしゃいませ。社長、副社長」
夏彦と雪さんを送り出して、自分の仕事へと戻った。