新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【朔也】
電話をもらい、夏輝を連れて急いで『TAKADAホールディングス』に向かった。
「あの…すみません。小日向深琴の弟なんですが…」
受付の社員にそう言ったところで、「朔也!夏輝!」と俺たちを呼ぶ声がしてどこからか香純姉が現れた。
「香純姉!」
「香純ちゃん!」
「夏輝も来たのね」
「うん。…ママは?」
「大丈夫よ。今は寝てるから静かにね」
香純姉は「行こう」と夏輝の手を繋いで前に歩き出す。
「…兄貴と連絡は取れたのか?」
「あっ、うん。『すぐに戻る』って。声が慌ててたわ」
「だろな…」
俺はその時の兄貴を想像しつつ、香純姉たちの後を着いて行った。
【秘書課】に足を踏み入れると、香純姉が社員の1人に話しかけた。
「社長と副社長は、まだ?」
「ええ、まだ戻られていません。…あの、岡田課長」
社員たちが俺と夏輝を見る。
「そちらは…」
「小日向朔也と申します。この度は姉がご迷惑をおかけして申し訳ありません。…そして、この子は――」
「小日向夏輝です。ママがいつもお世話になってます」
どこで覚えたのか、夏輝は少し大人びた様子できちんとした挨拶をした。
…きっと、兄貴の影響だろな。
「えっ、小日向さんって。こんな大きいなお子さんがいたんですね!」
「「「可愛い~~♪」」」
しっかり、社員たちは甥(おい)の虜(とりこ)になった。