新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
その時――
「朔也!夏輝!」
「遅くなってすまない。岡田、朔也くん」
息を切らせながら、兄貴と雪さんが俺たちのほうへ駆け寄って来た。
社員たちはいったい、なにが起こっているのかわかってないだろう。
「…いいえ、お疲れ様です」
他の目もあるからだろうか、香純姉はそう言って2人を出迎えた。
「パパ、遅いよ~」
「…これも急いで来たんだけど、遅くなってごめんな。夏輝、朔也」
「いや、俺たちも今来た所だよ」
―――ザワザワ。
と、社員たちの声が聞こえて来た。
「…夏輝くん、今社長ことを“パパ”って呼ばなかった?」
「でも、社長は独身のはず…」
「俺、実は社長が指輪を嵌めてるの見たぜ」
俺は兄貴の隣に行って、小声で言う。
「…いいのかよ?」
「もうどうぜ、正式に公表するつもりだった。…岡田、雪。この後そのまま俺は直帰する」
「はい、承知しました」
「了解しました。後の事は俺がやっておきます」
兄貴はそう言って、俺たちと一緒にいったん社長室に入った。