新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【夏彦】
社長室。
―――ガチャ。
「…夏彦?」
ドアを開けると、深琴の声が聞こえてた。
「遅くなってごめん。商談がなかなか終わらなくて…」
そう言いながら、深琴の頬に手を当てる。
「うんうん、平気…」と深琴が横に首を横に振る。
「ママ~~」
夏輝がソファーから上半身を起こした深琴に抱き着いた。
「思ったよりも顔色はいいじゃん」
「ごめんね、朔也」
「謝るなよ…。でも、もう強がって倒れるなよ」
「そうだ、心臓に悪い」
「うっっ、ごめんなさい…」
俺たちの同意権に深琴は反省の色を見せた。
「よし、帰るか。…朔也、今日はウチに泊まって行け」
「ん、そのつもりで着替えは持って来た」
きっと朔也は、俺が深琴の看病と夏輝の面倒を見るのは1人じゃ大変だろうと思ってくれたんだろう。
よく気が利く義弟だ。
「助かる。…深琴、帰るぞ」
そう言って、俺は慣れた手つきで深琴をお姫様抱っこをして歩き出す。
「ちょ…夏彦、1人で歩けるから!」
「いいから、大人しくしてろ」
そう言い合いをしながら社長室を出ると、当然社員たちの目線が集まって来る。
――ザワザワ。
「…こんなはずじゃなかったのに…」
「『この人は私のモノです』って、アピールができていいだろ?」
「バカじゃないの、夏彦…」
深琴が顔を赤くしてそう呟いた。