新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
【一月】
定時が過ぎて、誰もいないデザイン課で俺はある事を調べていた。
【高田夏彦(25歳)
N大に進学。のちに、ニューヨークに留学。】
「…っ!」
ある雑誌に乗っていた、彼の記事を読んで体を震わせた。
深琴と同じN大出身。
2人は“深琴”と“夏彦”と呼び合う仲。
そこまでなら、俺も同じ立場だ。
けど…
『パパ、待ってよ~』
あの夏輝が社長ことを“パパ”と呼んでいた。
“夏彦”と“夏輝”
「…どうして、今頃になって“あいつ”が現れるんだよ…」
「…あんたに社長のなにがわかるの?」
横から声が聞こえて、閉じていた目を開けてそのほうを向くと肩に鞄をかけている香純がいた。
「お前は…わかるのかよ?」
「社長―――夏彦がニューヨークにいた4年間、誰とも付き合わなかった。『忘れられない彼女』がいるからって」
「…お前は社長の―――」
「『幼なじみ』よ、小学校からの。…ねぇ、私に聞きたい事があるならちょっと付き合いなさい」
「ああ…」
それから、俺たちは近くのファミレスに向かった。