新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~


ファミレス。


お互いに向き合うように席に着いて、コーヒーを2つ注文した。

コーヒーが届いて、俺は重い口を開く。

「―――社長が“夏輝の父親”なのか?」

「そうよ、私もこの事を知ったのは最近よ。でも、前から夏輝は子どもの頃の夏彦に『瓜二つだな~』って思ってた」

「どうして、今頃になって…っ!あいつは深琴を…」

「夏彦はね、深琴だけには…御曹司とか関係ないただの“高田夏彦”として見て欲しかったみたい。…深琴を本当に愛してるから、実家の事を言えなかったんだって…」

それから、『4年前の真実』を香純がわかっている範囲で話し始めた。

“八柳香織”が社長の『婚約者』を偽って深琴に逢いに行って、社長の父親――会長からと嘘をついて【小切手】を突きつけた。

会長は、密かに深琴ことを調べて見守って来たらしい。

夏輝が『息子の子だ』と確認を持って。

「…会長――おじさまは、深琴の名前を覚えていたらしくて…夏彦が帰国してまだ2人に気持ちあるならってね。…この事は、夏彦も深琴も知らないから内緒ね!」

香純はそう言って、コーヒーを一口飲んだ。

「…『事実』がどうあっても、あいつは深琴を今まで苦しめてきた」

「…だったら、あんたはこの4年間なにをやってたのよ?」

「…っ!!」

「ずっと告白をしないで、なんで夏彦を『許さない』みたいな事を言ってんのよ。…ある意味、告白もしてないのに夏彦ことを悪く言う一月は最低よ。…じゃあ、私は帰るわ」

「…ああ、じゃな」

香純は椅子から立ち上がって、その場を去って行った。

「くっそっ…!」

俺は力を入れた拳をテーブルに叩きつけた。


――『一月兄、今でも姉貴のことが好きなんだろ?告白もしないでこの4年間なにをやってたんだよ?』


――『…だったら、あんたはこの4年間なにをやってたのよ?』


朔也と香純に言われた言葉がもっともで、腹立たしいかった。


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