新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
翌日。
夏彦に「今日は休め!」と強く言われて、仕事を休んだ。
とはいえ、家事を休むわけにはいかない。
夏輝と朔也を保育園に送り出して、いつもは仕事に行っているためにできない部屋の中の片づけをやる。
「あれ?これ…」
夏彦の仕事部屋に入ると、見覚えがある封筒があった。
中身を確認すると、やっぱりそれは私が渡したある会議資料だった。
…やだ、これ今日必要なものじゃない。
もう~、しょうがないわね…。
まだ会議まで時間がある。
私が急いで支度をして、車で会社に向かった。
会社。
【秘書課】に入ると、私の3歳上の男性社員―――田口彰(たぐちあきら)さんが声をかけてきた。
「あれ?深琴ちゃん。どうしてここに!?…今日は休みのはずじゃ…」
彰さんが少し驚いた様子で私に声をかけてきた。
ちなみに、どうして彼が私を“深琴ちゃん”と呼ぶかと言うと…実は愛花の恋人で、私も香純もプライベートでも親しくさせてもらっているからだ。
「ええ、そうなんですけど…。夏彦…いや、社長の忘れ物を届けに…」
「…社長なら、今香純ちゃんと席を外してるよ。すぐに戻って来ると思うけど、どうする?」
「社長室で待ってみます」
「じゃあ、コーヒーを淹れてくるよ。ちょっと深琴ちゃんと話がしたかったんだ」
彰さんがすぐにコーヒーを淹れてきてくれて、社長室のソファーに机を挟んで向き合うように座った。