新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
どんなに苦しくて傷ついても…
【深琴】
8月の下旬。
夏輝も無事に5歳になり、夏彦と私の『婚約』も正式に公表した。
秘書課のみんなは、私たちの関係を知っても以前と変わらず『一社員』として接ってくれている。
「小日向さんの『働き』は、私たちがよく知ってますから!」
「そうですよ。むしろ高田社長とプライベートでもパートナーって聞いて『やっぱりか!』と腑に落ちたんです」
そう言って、私たちを祝福してくれた。
もちろん、他の課の人たちの中には…私たちの『関係』を良く思ってない人もいる。
「…小日向さんって、もともと大学時代に社長と付き合ってて…わざと社長との子どもを妊娠してんだって」
「そんなの完全に財産目当てじゃん」
「社長には『婚約者』がいたのにそれを横から…」
「やっぱり、できる女(ひと)は考える事が違うわ」
今日もそんな会話が廊下を1人で歩いていると聞こえてくる。
…なにも知らないくせに!
別に好き勝手の噂など気にしてなし、この人たちに『真実』を話す気もさらさらない。
でも…
「…社長と子どもが可哀想。こんな女に騙されて」
「…っ!」
その言葉に我慢できず、その社員たちのほうを振り返って睨む。