新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
帰り道。
一月と別れた後、深琴に【今から帰る】とメール送って「一応、八柳おじさんに聞いてみるか」と呟くと、タイミングよく携帯が鳴って【着信:八柳駆】と表示された。
その場で電話に出た。
「―――俺だ、遅くにすまない。夏彦」
「いいえ。俺も八柳おじさんに聞きたい事があったので、ちょうど良かったです」
「どうした?」
「”島田暁人”という男が9月1日からウチに入って来るんですが…」
「なに!?島田くんが?」
「彼を知ってるんですか?」
そして、俺の予想は的中した。
「知ってるもなにも…香織が留学する前の『大学の同級生』だ。ウチの会社では【秘書課】で働いていた」
…やっぱり、島田と香織は繋がっていたか。
「夏彦」
八柳おじさんが真剣と言った声を出す。
「はい」
「―――香織が帰国する」
「…偶然じゃない、ですね?」
「そうじゃないかもしれんが、俺も『偶然じゃない』と思う。…香織が深琴さんと夏輝くんに逢うことは避けられないだろう」
『4年前の事』はもう八柳おじさんにも伝えて、あの時の【小切手】も返した。
「ええ、わかっています。…その時は連絡します」
「ん、頼む」
そう言って、電話を切った。
「今度は、前みたいにさせてたまるか…」
そう心に決めて、愛しい2人が待つマンションへ帰宅した。