新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~


【深琴】


「彼氏が迎えに来るから」と先に愛花と七海と別れた後、今一緒に残っているのは、私と香純・一月と暁人だけ。

私は夏彦に電話をかけた。

そして、かけ終わると隣にいる一月が言う。

「夏彦のヤツ、迎えに来るって?」

「うん。『香純に雪を引き渡したいから一緒に待ってろ』って…」

「雪ったら、明日も仕事なのに飲み過ぎたのかしら?」

逆隣いる香純が呆れたようなため息をついた。

「大丈夫だろ?夏彦も雪もその辺はいつもちゃんとしてる」

最近の一月は、私たちと同じく2人のことを“夏彦”・“雪”といつの間にか名前で呼び捨てするようになっていた。

私たちが知らない所で、同い年同士でもあって打ち解けたのかもしれない。

「あんたに言わなくても、わかってるわよ…っ」

「あっそ」

私はそんな会話をする一月と香純を見ていると、今まで黙っていた暁人が口を開いた。

「あのさ…、さっきからお前らが話してる2人って…」

「…もしかしてお前、知らないのか?」

一月の言葉に暁人が「なにを?」と言いかけたたその時―――。

「…深琴」

後ろから呼ばれて振り向くと、夏彦が私たちのほうへ近づいて来た。

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