新社長と二度目の恋 ~御曹司は私も子どもも離さない~
二度目の命、4年前の繰り返し?
【深琴】
3日後、9月4日。
朝。
「…じゃあ、私先に出るから、夏輝のことお願いね」
「ああ、もうすぐ朔也が迎えに来るだろうから大丈夫だが、今日はなんだ?…夏輝と俺の戸籍に関わる【認知届】ならもう出しただろ」
「だから…今日は違うから。後でちゃんと話すから!…行ってきます」
「おい、深琴!」
「ママ、いってらっしゃい~」
と、夏輝に見送られてウチを出た。
…最近、生理が遅れている事に気づいて妊娠検査薬で調べたところ【陽性】だった。
夏輝が産まれた産婦人科に電話をしたら、今日の午前中に予約が取れた。
…夏彦には、結果が確実になってから伝えたい。
そう思いながら、産婦人科に向かった。
産婦人科。
「小日向さん、小日向深琴さん」
「はい」
看護師さんに呼ばれて、診察室に入る。
中に入ると、夏輝を妊娠・出産した時にもお世話になった女性医師―――河本医師(かわもとせんせい)がいた。
軽く挨拶を済ますと、医師はPC画面のカルテを観ある。
「…えっと、妊娠の兆候あり。確か小日向さんはシングルマザーで夏輝くんを育ててるんだったわね。いい出逢いがあったのね♪」
「実は、夏輝の父親と再会しまして…結婚する事になったんです」
「まぁ!そうだったね!おめでとう♪」
「ありがとうございます」
「…じゃあ、検査してみましょう」
「はい」
検査台に上がり、エーコをお腹に当てる。
しばらくすると、医師が「いたわ、見える?」と言って私のほうに画面を向けてくれた。
「…ちょうど6週目に入るところね。妊娠2ヶ月」
「本当だ」
…私、また夏彦の子を授かったんだ。
彼と再会してなければ、私が『二度目の妊娠』なんて想像もしてなかったと思う。
検査を終え、椅子に座る。
「はい、写真ね。予定日は5月1日です。…また予約を取って来てくださいね」
「はい、ありがとうございました」
そう言って、診察室を出た。
次の予約を取って、夏彦がどんな反応するか考えながら会社に向かった。